自分の会社が必要な理由

著者: Derek Sivers

日本語訳: yomoyomo


以下の文章は、Derek Sivers による Why you need your own company の日本語訳を著者の許可を得て公開するものである。


2008年のはじめ、僕は自分の会社を売却するのに合意した――この10年僕はこれだけに取りつかれてきた。

僕は85人も従業員を抱えるのは嫌だった。それがちょっと苦痛になっていた。それから逃れて気持ちをすっきりさせる必要があったのだ。

http://www.flickr.com/photos/adriangray/170353791/

僕はできるだけ遠くへ――日本の南端火山にある温泉神社に行った。(ビデオを参照

僕は静かに座した。蒸された。湯に浸った。海の音を聞きながら眠った。

僕はこれ以上ないほどくつろいだ。頭は空っぽ。

この10年で初めて、僕は何もする必要がなかった。何の責任もない。何の計画もない。

なんと気楽なことか、だろう? 想像できる?

僕は『Seeking Wisdom』という名著を持っていき、平和な日本の海に面した部屋で読んだ。

この本は素晴らしかった。行動ファイナンスについてのチャーリー・マンガーの考察は際立っており、逆説的だ。この本は僕が試したかったさまざまな起業のアイデアを引き出してくれた!

CD Baby をやってた頃、僕は新しいアイデアをすぐに試すことができた(「5ドルセールをやったらどうだろう?」「カード読み取り機と連動できたらどうだろう?」「多言語化できたらどうだろう?」)。アイデアを思いついたらいつだってそれを数日のうちにテストできた。

でも今は、この10年ではじめて、会社がないので、僕はこうした新しいアイデアを試すことができない! 僕にできるのは読み、考え、そしてことによればそれについて書くことだけ。なんてこったい!

そうして僕は、自分が新しい会社を立ち上げる必要があるのに気付いた。金のためじゃない。「退屈」しているからでもない。そうじゃなくて、会社がアイデアを試す実験室だからだ(「実験室(laboratory)」という単語は、研究、実験、分析を行なう部屋と定義される。僕はそれを砂場やベビーサークルととらえている)。

平和な温泉につかりながらこのことに気付くと、僕は福岡に戻る電車に乗り、行動を起こした。

僕は、人々が退屈な仕事をやるのを助けるのにクラウドソーシングを試せるよう MuckWork を始めた。

完全に多言語化されたサイトを試みるために MusicThoughts を、またこの翻訳作業を組織化するために lang.pro を再始動した。

インキュベーター/持ち株会社として、また透明性に関する実験として Now Now Now を立ち上げた。

そして教育目的のプロジェクトは全部(成功談ドキュメンタリー、そしてコーチング)、まもなく今より大きな一つのスコープにまとめるつもりだ。

で、これで僕は何もしないよりずっと幸せだった。これは仕事じゃない。遊びだよ。アイデアを試す場なんだ。

我々すべてオフの時間もいくらか必要だ。活動領域や仕事のペースの変化が必要だ。ストレスがたまったら、沈黙や癒しが必要だ。マンネリに陥ったら、見境のないアドレナリンが必要だ。

でも、仕事から永遠に逃れるのが至福と考える人たちは、僕たちは皆遊び場が必要であり、自分の会社こそがあらゆるなかで最高の遊び場の一つであることを忘れてはいけない。

「真に幸せな人をよく見れば、彼がボートを作ったり、交響曲を書いたり、息子の教育をしたり、あるいはゴビ砂漠で恐竜の卵を探しているのが分かるだろう」――オーストラリアの精神科医 W. Béran Wolfe

「幸福な人を見たら、事業を見出すことになる」――Sonja Lyubomirsky

Mad Scientist


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初出公開: 2009年06月15日、 最終更新日: 2009年06月20日
著者: Derek Sivers
日本語訳: yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)