yomoyomoの読書記録

2008年10月23日

多根清史『日本を変えた10大ゲーム機』(ソフトバンク新書) このエントリーを含むブックマーク

表紙

 ソフトバンクの上林さんから献本いただいた本。

 ワタシ自身はファミコン時代から現在までいわゆる家庭用ゲーム機を一台も所有したことがないという同世代の中では変わった人間である(あ、ゲームウォッチは持ってたか)。もっとも小学生のときに買った PC-6001mkIISR だって主にゲーム用途だったわけで、何より特に中高生のときかなりの時間をゲームセンターで過ごしたわけで、ゲーム自体とはずっと近しい関係にあった。

 本書の題名は『日本を変えた10大ゲーム機』で、インベーダーからプレステ3にいたる主要なゲーム機が章タイトルに冠されているが、もちろんそれだけがすべてではなく、タイトルに挙がらないセガや NEC などのゲームプラットフォームについてもちゃんとページを割いて記述しており、家庭用ゲーム機の歴史を辿る本、本書の言葉を借りれば「ゲームと日本社会の関わり」をコンパクトに描いた本になっている。

 当然すべてを関係者の証言で裏付けたものではなく、状況証拠的な推論も含まれるので、実際にはこれはこうでという話もあるのかもしれないが、PS はソニーで NEWS をやってた部隊が開発にあたったとか、知らなかった話をいくつも読めた。

 本書を読んで思ったのは、「夢」と「ビジョン」の違い、そして「夢」を持ち続けることの厄介さ、難しさである。

 「ビジョン」なき「夢」は危うい。本書で語られる歴史の中で、任天堂にしろソニーにしろ、それぞれのやり方でゲーム機をゲーム機以上の存在にしようと挑戦してきた。PS3 はそれに失敗したように見えるし、任天堂にしろそれとは違った意味で失敗を重ねてきた。ただ一方で「テレビを飲み込もう」という意志は、ご存じの通り Wii にも受け継がれている。「夢」のしぶとさというべきか。

 そして、上記の話を含め、歴史は繰り返すというか、そのときどきの勝者が形を変えて同じ失敗をしているように見えるところは興味深い。現時点における勝者は任天堂だが、別にそれは任天堂が正しかったからというより勝ったから正義に見えるというだけで、そうした意味でその地位も全然盤石なものではないだろう。


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