yomoyomoの読書記録

2006年05月11日

FPN『アルファブロガー』(翔泳社) このエントリーを含むブックマーク

表紙

 刊行されてしばらくして翔泳社のモーリさんから献本いただいた本である。

 前にこのアルファブロガー企画の第二回があったものだから、本書が刊行されて一年ぐらい経っていると思い込んでいたのだが、実際には2005年10月だからまだ半年程度である。今読んでもさほど落差は感じなかった。

 本書の元となったアルファブロガー投票企画を行った FPN(Future Planning Network)ニュースコミュニティについては……この手のグループに対する評言で恨みを買うのは JBA のときにひどい目にあって懲りたので、奥歯にものが挟まったような表現になるのをお許しいただきたいのだが、率直に言って好きでないし、その名前を聞いて最初に浮かぶ言葉は、「ブロガーの病」である。

 しかし、上の当方の評言は皮相的なのだろう。FPN はグループブログなのだから、一からげにするのではなく、構成員によりエントリの質にバラつきがあるのを考慮すべきで、この人は参考になる、この人は読み手への媚が鼻につくときがある、このビルゲーツとか書く奴はゴミ、この人はかなりまとも、この人は可も不可もなし、あと横田真俊? 誰それ? ……というように人単位に分けて評価すべきなのだろうか。

 さて、前置きが長かったが、本書は優れたインタビュー集である。上のように書く当方がそう書くのだから、嘘でないことはお分かりいただけるだろう。おそらくは構成員の資質の優れた部分が発揮されたのだと思う。まあ、以前なら、「ネオテニーが日本にブログを持ち込んだ(5ページ)」という表現を見ただけで、「何ふざけたこと書いてんだ、コラ」と腹を立てただろうが、もうそういうのは止めた。

 本書は11人の「アルファブロガー」のインタビュー集なのだが、ワタシ自身購読しているブログは大体七割ぐらいか。切込隊長や渡辺千賀さんあたりを筆頭に、彼らの頭の良さを引き出したインタビューが多いと感じた。

 ただブログ運営指南という観点で見た場合、一般のブロガーが本書を読んでどの程度参考になるのかなと思ったのも事実である。そうした観点からして一番参考になるのは、ネタフルの人と橋本大也さんのインタビューだろうか。もっともワタシはネタフルほとんど見たことないんだけどね。

 さて、本書の読書記録は以上だが、それとは別に個人的に印象に残った伊藤直也さんの発言を最後に引用しておく。

 「Web2.0」というのは、マーケティング的に便利な言葉ってくらいかな。例えば記事を書くときにも「Web2.0」という言葉を使うとそれっぽく見えるようになるし。

 でも、そのうちエンジニアの人は「Web2.0」っていう言葉を嫌いだすと思う。最近の記事で、RSSとかフィードについて書いてあるものを見ても「わかってねーな」と思うような内容も増えてきたし。そうなってきてはじめて広がったってことなんだけど、そうなったころにはエンジニアは別の方向に行くんだと思う。

 たしかに昔はブログそのものに興味があったけど、今はもうブログの裏に流れている技術の中から何か新しいものが出てくることは考えにくい。あったとしても既存の技術の焼き直しになるんでしょうね。(165ページ)


[著者名別一覧] [読観聴 Index] [TOPページ]


Copyright © 2004-2016 yomoyomo (E-mail: ymgrtq at yamdas dot org)